アクリレーツコポリマーは含有の必要なし|日焼け止めの成分チェック

アクリレーツコポリマー(2-Propenoic acid, 2-methyl-, polymer with 1,1-dimethylethyl 2-propenoate and ethyl 2-propenoate)は、アクリル酸アルキル(C1~C4)、メタクリル酸アルキル(C1~C4)、アクリル酸、メタクリル酸のうち2種以上のモノマーで構成される共重合体で、比重は0.4 g/mL(25度)、皮膜形成、エモリエント剤として化粧品に活用されています。




成分概要と特徴

アクリレーツコポリマー(Acrylates Copolymer|旧名ACRYLIC/ACRYLATES COPOLYMER|2-Propenoic acid, 2-methyl-, polymer with 1,1-dimethylethyl 2-propenoate and ethyl 2-propenoate)は、アクリル酸アルキル(C1~C4)、メタクリル酸アルキル(C1~C4)、アクリル酸、メタクリル酸のうち2種以上のモノマーで構成される共重合体で、比重は0.4 g/mL(25度)、皮膜形成、エモリエント剤として化粧品に活用されています。

 

アクリル酸は、化学式C3H4O2、モル質量72.06 g/mol、密度1.051 g/mLの無色透明の液体で、劇物にも指定されており、消防法第4類危険物第2石油類にも分類されています。単体では危険な物質です。

 

メタクリル酸は、化学式C4H6O2、分子量86.09、密度1.02 g/cm3の無色液体、または、結晶固体(常温25℃では液体:融点16℃)で劇物に指定される腐食性のある物質です。こちらも単体では危険な物質です。

 

マスカラやアイライナー等によく含まれており、日焼け止めクリームに含まれていることもあります。

 

アクリレーツコポリマーの危険性

化粧品に対して利用される場合は、そこまでひどい危険性はないですが、皮膚にも、目にも刺激性があります。人によっては使用を避けたほうがよいため、そもそも入っていないものを選んだほうが無難です。

 

アクリレーツコポリマーは、ビタミンKと共にパルス色素レーザー治療後の紫斑期間の短縮にも活用されます。

Five vitamin K formulations with or without retinol were studied: 3% vitamin K in acrylates copolymer cream, 5% vitamin K in acrylates copolymer cream, 1% vitamin K and 0.3% retinol in acrylates copolymer cream, 1% vitamin K and 0.15% retinol in acrylates copolymer cream, 1% free vitamin K cream. Purpuric discoloration at each site was rated on days 0, 1, 3, 7, 10, and 14 after laser treatment on a quartile scale. Each site was assigned 100% discoloration on day 0 after laser irradiation.

引用元:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1046/j.1524-4725.1999.99145.x

レーザー誘発性紫斑の回復治療は、何もしない場合よりも、アクリレーツコポリマーのクリーム中の1%ビタミンKと0.3%レチノールが含まれている方が早く解消できるとのことです。この場合、アクリレーツコポリマーというよりはビタミンとレチノールの影響が大きいですが、回復のための基材としても使われるくらいにアクリレーツコポリマーには信頼があります。

 

一般的なアクリレーツコポリマーの含有量

アクリレーツコポリマーは、洗い流すもの、しばらく洗い流さない化粧品など含めた調査によると、含有量は

  • 洗い流すもの:24.6%
  • 洗い流さないもの:36.4%
  • 化粧品:45.2%

で、検査されたのは合計283製品、このうち、58%にあたる164製品で、アクリレーツコポリマーが、平均34%含まれているとのことです。

出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6477564/

 

以下の出典元では、アクリレートコポリマーの含有量は25%にもなると言われていますが、実際にはそれよりも多く含まれているケースが約半数はあるということです。

引用元:https://journals.sagepub.com/doi/10.1080/10915810290169800

 

アクリレーツコポリマーの皮膚刺激性

アクリレーツコポリマーの刺激性は、アクリレーツコポリマーを構成している

  • アクリル酸アルキル(C1~C4)
  • メタクリル酸アルキル(C1~C4)
  • アクリル酸
  • メタクリル酸

がどの程度遊離状態にあるかで話が変わります。基本的に皮膚刺激性は低いですが、全く刺激がないわけではなく、肌荒れを起こすケースはあります。特に赤ちゃんの肌にはまだ刺激が強い可能性があります。

 

敏感肌の方や、赤ちゃん、妊娠中の方はアクリレーツコポリマーの多い化粧品は、念の為避けたほうが良いでしょう。代替品があるので、アクリレーツコポリマーをあえて化粧品に使用する必要はないです。

 

アクリレートコポリマーの発がん性

In particular, although 2-ethylhexyl acrylate was not genotoxic, it was carcinogenic when applied at a concentration of 21% to the skin of C3H mice. Lower concentrations (2.5%) and stop-dose studies at high concentrations (43%) were not carcinogenic.

引用元:https://journals.sagepub.com/doi/10.1080/10915810290169800

特に、アクリル酸2-エチルヘキシルは遺伝子毒性はありませんでしたが、C3Hマウスの皮膚に21%の濃度で適用すると発がん性がありました。 低濃度(2.5%)および高濃度(43%)での停止用量試験では発がん性ではありませんでした。

 

アクリレートコポリマーの吸入毒性(残留モノマー)

Whether an increase in carcinogenesis was seen or not, there was evidence of severe dermal irritation in these 2-ethylhexyl acrylate studies. Another concern regarding residual monomers was inhalation toxicity.Although the acrylic acid monomer is a nasal irritant, exposure to the monomer from use of these polymers in cosmetic formulations would always be less than the established occupational exposure limits for nasal irritation.

引用元:https://journals.sagepub.com/doi/10.1080/10915810290169800

発がん性の増加が見られたかどうかにかかわらず、これらのアクリル酸2-エチルヘキシルの研究では重度の皮膚刺激の証拠がありました。 残留モノマーに関する別の懸念は、吸入毒性でした。

 

アクリル酸モノマーには鼻に対し刺激がありますが、化粧品配合物であるアクリレートコポリマーでは、それほど危険はないとのことです。もちろん、呼吸器への刺激はゼロではないので吸入は避けてください。

 

アクリレートコポリマーの眼刺激性

アクリレートコポリマーには目刺激性があることが分かっていますので、目への使用、誤用は避けてください。

 

出典・引用

Final Report on the Safety Assessment of Acrylates Copolymer and 33 Related Cosmetic Ingredients

https://journals.sagepub.com/doi/10.1080/10915810290169800

Final report on the safety assessment of Acrylates Copolymer and 33 related cosmetic ingredients

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12537929/

Skin safety and health prevention: an overview of chemicals in cosmetic products

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6477564/

Effects of Topical Vitamin K and Retinol on Laser-Induced Purpura on Nonlesional Skin

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1046/j.1524-4725.1999.99145.x

Posted by Medic