ポリアクリルアミドは含有の必要性が低い|日焼け止めの成分チェック

ポリアクリルアミドは、アクリルアミドが大量に連なっているものです。元となるモノマー、アクリルアミドの化学式C3H5NO、モル質量71.08、密度1.122 (30℃)、融点84.5℃の常温固体の物質です。ポリアクリルアミドに代わる増粘剤は他にもあるので、これでなくてはいけないということはありません。




成分概要と特徴

ポリアクリルアミド(Polyacrylamides)は、アクリルアミドが大量に連なっているものです。元となるモノマー、アクリルアミドの化学式C3H5NO、モル質量71.08、密度1.122 (30℃)、融点84.5℃の常温固体の物質です。

 

化粧品には「増粘」を目的に添加され、ポリアクリルアミドの状態での、通常使用では特に有毒性はないものの、他の化粧品や光刺激などの影響で重合が切れて、ごく少量の「アクリルアミド」が生成されてしまう可能性(0.02%~0.03%)があり、アレルギーの心配がある方は、ポリアクリルアミドを含む化粧品は使用しないほうが良いでしょう。

 

ポリアクリルアミドに代わる増粘剤は他にもあるので、これでなくてはいけないということはありません。

 

アクリルアミドの危険性

アクリルアミド単体には

  • 経口摂取での発がん性
  • 呼吸摂取で受胎能力低下
  • 目への刺激性
  • EU分類で有毒
  • 皮膚アレルギーの可能性あり

などのリスクがあるため、アクリルアミド、ポリアクリルアミド及び、それらが含まれている化粧品は肌に触れるだけのものでも、使用は避けたほうが無難です。

Polyacrylamide is reportedly used in 110 cosmetic formulations, at concentrations ranging from 0.05% to 2.8%. Residual levels of acrylamide in Polyacrylamide can range from<.01% to 0.1%, although representative levels were reported at 0.02% to 0.03%.

引用元:https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS342.pdf

ポリアクリルアミドは、0.05%から2.8%の濃度で110種以上の化粧品に使用されていて、ポリアクリルアミド中のアクリルアミドの残留レベルは0.01%から0.1%の範囲ですが、代表的なレベルは0.02%から0.03%と報告されました。つまり、ポリアクリルアミドを使用するときには0.02%は危険なアクリルアミドが含まれている可能性があるとして考えなければいけません。

 

顔面の審美治療におけるケース

To assess the safety and efficacy of the treatment, follow-up visits were scheduled for day 7, day 28, and 3 months, 6 months, and 12 months after the first injection. Standardized photographs were taken before treatment and during month-3 and month-12 visits. Blood and urine samples were collected and analyzed before injection and at 6 and 12 months after injection. The most common sites of injection were the nasolabial folds (48 percent) and lips (25 percent) followed by glabella folds (8 percent) and other sites. The amount of injected gel ranged from 0.2 to 12 ml.

引用元:https://journals.lww.com/plasreconsurg/Abstract/2005/09150/Efficacy_and_Safety_of_Polyacrylamide_Hydrogel_for.38.aspx

顔の鼻や唇、眉などに注射器でポリアクリルアミドを、審美治療として注入した228人の患者の事例で、93%の患者は問題ありませんでしたが、37例で一過性の腫れ、血腫、発赤、痛みまたはかゆみがあったとのことです。正常値の範囲内ではありますが、好中球減少が起きた事例もあるとのことです。

 

ほとんどの場合、問題はないようですが、一時的に「一過性の腫れ、血腫、発赤、痛みまたはかゆみ」が起きる可能性はあると考えておきましょう。

 

上記のデータでは12ヶ月のみ追跡していますが、2年間経過観察をしたケースでは、101人の患者のうち93人は満足していて、1年と2年でこの審美治療(Aquamid)の効果の差は同じだったとのことです。

 

ただし、5年の経過観察をしたケースでは、251人に対して行ったもので、ほとんどは問題がないものの、合計53件の有害事象(ゲル硬化や感染症)と2件の重篤有害事象があったとのことです。長い間ポリアクリルアミドを体内に入れておくのはやめたほうが良いかもしれません。

 

ポリアクリルアミドの急性毒性

ラットに対する実験では、4.0g/kgの量を経口摂取させても死に至らなかったとしており、また、犬とラットで

(経口)464mg/kg

この量を超えない限りは害はほぼないとされています。さらに、最大5%濃度でポリアクリルアミドを含むえさを、ラットと犬に対して与えても健康被害はなかったと報告されています。

出典:https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS342.pdf

 

残留アクリルアミドの危険性

ポリアクリルアミドに残留している可能性があるアクリルアミドは、EUでは

European Union, acrylamide has been limited to 0.1 ppm for leaveon cosmetic products and 0.5 ppm for other cosmetic products.

引用元:https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS342.pdf

リーブオン化粧品(つけても洗い流さないもの)では0.1 ppm、その他の化粧品では0.5ppmに制限されています。これはごく少量なので、ほとんどの場合は問題ないでしょう。

 

残留アクリルアミドが多い場合は

  • 乳腺腫瘍
  • グリア細胞腫瘍
  • 甲状腺濾胞腫瘍
  • 口腔組織腫瘍
  • 子宮がんの発生率の増加
  • 陰核亀頭腫瘍
  • 中枢神経系(CNS)の腫瘍
  • 甲状腺腫瘍
  • 陰嚢腫瘍

これらを引き起こす可能性があります。ポリアクリルアミドの含有量が微量であっても、長く体内に入れておくようなものは避けたほうが良いでしょう。

 

出典・引用

Efficacy and Safety of Polyacrylamide Hydrogel for Facial Soft-Tissue Augmentation

https://journals.lww.com/plasreconsurg/Abstract/2005/09150/Efficacy_and_Safety_of_Polyacrylamide_Hydrogel_for.38.aspx

Efficacy and Safety of Polyacrylamide Hydrogel for Facial Soft-Tissue Augmentation in a 2-Year Follow-Up: A Prospective Multicenter Study for Evaluation of Safety and Aesthetic Results in 101 Patients

https://journals.lww.com/plasreconsurg/Abstract/2006/09011/Efficacy_and_Safety_of_Polyacrylamide_Hydrogel_for.13.aspx

A 5-Year Assessment of Safety and Aesthetic Results after Facial Soft-Tissue Augmentation with Polyacrylamide Hydrogel (Aquamid): A Prospective Multicenter Study of 251 Patients

https://journals.lww.com/plasreconsurg/Abstract/2010/06000/A_5_Year_Assessment_of_Safety_and_Aesthetic.30.aspx

Chemistry, Biochemistry, and Safety of Acrylamide. A Review

https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jf030204+

Recent Applications of Polyacrylamide as Biomaterials

https://www.ingentaconnect.com/content/ben/mats/2008/00000001/00000001/art00004

 

Posted by Medic