アイクレオ(ICREO)赤ちゃんミルクの安全性評価|赤ちゃんにとって最良の栄養を
今回は読者さんからの希望もあって赤ちゃんミルク「アイクレオ(ICREO)」の安全性を評価しました。アイクレオに含まれているよく分からない成分の役割と安全性を科学的に学術論文などからリサーチしました。基本的に安全ですが、赤ちゃんの健康状態を考慮して飲ませてあげてください。
母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養です。アイクレオは母乳が不足したり、与えられない場合に母乳の代わりをする目的で作られたものです。
無菌充填ですが、賞味期限内に、飲み方を守って早めに消費しましょう。
使用にあたって、医師や管理栄養士に相談すべき場合もあります。
【アレルギー物質】
乳成分・大豆
アイクレオとは?
アイクレオは、グリコ(江崎グリコ株式会社)が販売している赤ちゃんミルク(液体ミルク)で、母乳育児、育児をするママのサポートをしてくれる商品です。乳児用調整液状乳で常温保存可能品、内容量は125mlです。
アイクレオに含まれる気になる成分
ここでは、あまり一般の方が聞き慣れない成分であろうものをピックアップして解説しています。決して有害なものではありませんので、学術論文出典も参考にしながら、その目で確かめてください。
ガラクトオリゴ糖液糖
難消化性で、グルコースなどの単糖類が2個から10個連なったものが、ガラクトオリゴ糖です。ヤクルトの研究によるとガラクトオリゴ糖を5g摂取した大人は排便回数が増えるため、赤ちゃんの便通改善にも一部働きかける可能性があります。量を飲みすぎれば下痢になる可能性があるとも考えられます。
ビフィズス菌に関連して、腸内細菌のバランスを整える働きも期待されているため、間接的に赤ちゃんの免疫力を高めるのを助けてくれそうです。
Ciniiの論文では
24人の健康な被験者(男性12人と女性12人、年齢20〜58歳、体重39.0〜96.0 kg)
We also examined the safety of ingesting daily near amount of LT of the GOS syrup (15 g/person daily as GOS) for 2 weeks in 20 healthy adults. Although this dose increased the occurrence of abdominal gas in these subjects, the prevalence of diarrhea was unchanged as compared with that for the placebo beverage.
(翻訳)
また、20人の健康な成人を対象に、GOSシロップのLTの量に近い量(GOSとして毎日15 g /人)を2週間摂取することの安全性を調べました。この用量はこれらの被験者の腹部ガスの発生を増加させたが、下痢の有病率はプラセボ飲料のそれと比較して変化しなかった。
この実験では、平均体重約67kgの人が1日に15g摂取しても害はないとしているため、体重ベースで考えれば体重5kgの赤ちゃんの場合は、1日あたり1.12gまで摂取しても安全であると予測できます。
ヤクルト:ガラクトオリゴ糖とその機能性
https://www.yakult.co.jp/institute/report/pdf/science_No22.pdf
ガラクトオリゴ糖液糖の最大無作用量推定と安全性評価
https://ci.nii.ac.jp/naid/110007367291
レシチン
レシチンは、細胞膜や脳、神経系組織を構成するのに重要なリン脂質です。当然、成長期の赤ちゃんにも欠かせない栄養素です。レシチンが多く含まれているのは大豆、卵黄などです。離乳食でも大豆、卵黄系をなんとか食べさせてあげれば成長を後押しできるでしょう。
Jオイルミルズのウェブサイト、WHOなどの評価において、以下のように安全性は十分確認されてます。
引用(Jオイルミルズ:https://www.j-oil.com/product/supple/daizule_study.html)
Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives(JECFA)※の評価
国際連合食糧農業機関/世界保健機関 合同食品添加物専門家会議ではNOT LIMITED(制限しない)。
添加物としての安全性が評価されています。
※ADI(Acceptable Daily Intake、一日摂取許容量) :人が、毎日、一生涯、食べ続けても、健康に悪影響がでないと考えられる量
レシチンには、油を水に拡散させるエマルジョン作用などもあり、皮膚や粘膜を通して物質を透過させるのを助ける効果もあります。動植物に必須な構成物質ですので、むしろ積極的に適量を摂取して欲しい栄養素です。
イノシトール
広い意味で、ビタミンB群の一種です。不足すると神経系の異常が起きるとされ、糖尿病患者は欠乏症になりやすいと言われています。イノシトール(Wikipedia)はグルコースを原料として合成される甘みがある物質で、甘さとビタミンB群補給に役立つ成分です。これといって危険はありません。
軽度の副作用が報告されているのは、1日に体重1kgに対して67mg~500 mgを摂取した場合です。赤ちゃんミルクにはビタミンB群は、1パック(アイクレオ)、または、1缶(らくらくミルク)合計でも2mg未満しか入っていないので、イノシトールをここまで多く摂取することはできません。過剰摂取による副作用の心配もまずありません。
5’ーCMP
これはシチジル酸とも呼ばれ、リン酸、リボース、シトシン(5つある塩基の1つ(Wikipedia))が結合してできている物質です。以前の厚生省告示においては食品添加物に指定されていましたが、そもそも母乳中に含まれており、発育を促してくれる成分です。
ビール酵母から作られる事が多く、健康面に害はほとんどありません。CMPとだけ表記される場合は、さまざまな生物の細胞内にあるRNAの構成要素です。
硫酸亜鉛
条件付きで食品にも添加して良い物質として登録されています。条件付きなため、入っていなくても良い成分です。1リットル当たり6mgまで、許可を受けた場合のみ、強化剤として使用して良いことになっています。
たぶん入ってなくてもいい成分ね。入ってても有害なレベルではないけれど。
アリー
公益財団法人 日本食品化学研究振興財団(PDF)
https://www.ffcr.or.jp/shokuhin/upload/e5fa1c37b97cd7751ae74b0fbc78567833f7c77b.pdf
ウリジル酸Na
ウリジル酸は、ヌクレオチド構造を持つ有機物で、5′-体に関してはRNAの構造に似ており、基本的に人体に無害です。このウリジル酸のナトリウム塩がウリジル酸ナトリウム(Wikipedia)で、うま味調味料の一種として添加されています。
硫酸銅
硫酸銅(II)水和物(Wikipedia)は中学や高校の化学では医薬用害劇薬に指定されていますが、母乳代替飲料のミネラル強化のために少量のみ添加されることがあり、今回の硫酸銅はその事例です。
1リットルあたり0.6mg未満で添加しても良いということなので、アイクレオ125mlの場合、0.075mgの硫酸銅が入っている可能性があるということになります。0歳の赤ちゃんの銅の摂取目安量は0.3mg、アイクレオの栄養成分表示では銅は0.05mgしか入っていないと記載されているので、一応基準値内と言えるでしょう。
なんか嫌な気もするけど、アイクレオ、らくらくミルク、どちらにも基準値内で硫酸銅は入ってます。紛れもない事実です。安全範囲内だけどね。
アリー
公益財団法人 日本食品化学研究振興財団(PDF)
https://www.ffcr.or.jp/shokuhin/upload/e5fa1c37b97cd7751ae74b0fbc78567833f7c77b.pdf
グアニル酸Na
グアニル酸
一見すると怪しい名前の「グアニル酸(5′-GMP)」は干し椎茸の旨味成分です。核酸系の旨味調味料がグアニル酸ナトリウム(Na)で、化学的にはグアニル酸のナトリウム塩として、5′-リボヌクレオタイドナトリウムとも言われます。
核酸系と言われるのはヌクレオチド(Wikipedia)構造をもつ有機物だからです。危険な化学物質ではありません。
日本うま味調味料協会
https://www.umamikyo.gr.jp/spice/kind.html
アイクレオの栄養成分:125ml
紙パックのアイクレオには100ml当たりの栄養成分表示がされていますが、125ml当たりの成分表示はなかったので計算しておきました。もう一つのらくらくミルク、厚生労働省が発表している月齢0カ月から11カ月の赤ちゃんに必要な栄養成分も表にまとめました。
もうひとつ店頭に並んでいたらくらくミルクについても内容量240mlに合わせて換算しておきました。アイクレオの方が量が少なくても、ビタミンE、ビタミンB1、ナイアシン、葉酸、ビオチンを多めに摂取できます。
アイクレオが125mlなのに対して、らくらくミルクは240mlでの成分含有量ですが、ピンク色で塗った所は容量に倍近い差があるのにも関わらず、含有量はほぼ同じです。
アイクレオのほうが栄養面ではコスパが良いです。
参照リンク
アイクレオ公式
【厚生労働省】乳児・幼児に必要な栄養
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042642.pdf