メタクリル酸メチルクロスポリマーはほぼ安全|日焼け止めの成分チェック
ポリメタクリル酸メチルをジメタクリル酸エチレングリコールでつないだような構造で付着性があり皮膜形成剤として使われ、乾燥も防いでくれます。日焼け止めANESSAなどに含まれている成分で、医薬部外品ではポリアクリル酸アルキルとも呼ばれる物質です。
メタクリル酸メチルクロスポリマーの詳細
ポリメタクリル酸メチルをジメタクリル酸エチレングリコールで架橋(Wikipedia)したもので、簡単に言えば高分子の一つです。皮膜形成、増粘剤として利用され、日焼け止め成分の中では、日焼け止め成分を肌にくっつけておくのを助ける成分です。
これがたくさんくっついたものだね。
アリー
単体で言えば、メタクリル酸メチル(CAS:80-62-6)の分子式はC5H8O2、分子量は100.12、IUPAC系統名は2-メチル-2-プロペン酸メチルです。
無色の液体で、第4類危険物第1石油類に属していますが、危険物というだけで人体にも激しく有害なのではなく燃えやすいというものです。高分子になると性質は大きく変わりますので、メタクリル酸メチルクロスポリマーとは似ているようで似ていません。
これとは全く別の物質です。
アリー
参考:化粧品成分オンライン
参考:CosmeticInfo
安全性とリスクについて
一般的に高分子の状態になると人体には吸収できず、問題が起こることはまずありません。光による刺激などが懸念されますが、このメタクリル酸メチルクロスポリマーは特に目に対しても、皮膚に対しても危険があるとの事例は見受けられませんでした。
(引用)Polymethyl methacrylate (PMMA) and related cosmetic ingredients methyl methacrylate crosspolymer and methyl methacrylate/glycol dimethacrylate crosspolymer are polymers that function as film formers and viscosity-increasing agents in cosmetics. The Food and Drug Administration (FDA) determination of safety of PMMA use in several medical devices, which included human and animal safety data, was used as the basis of safety of PMMA and related polymers in cosmetics by the Cosmetic Ingredient Review (CIR) Expert Panel. The PMMA used in cosmetics is substantially the same as in medical devices. The Panel concluded that these ingredients are safe as cosmetic ingredients in the practices of use and concentrations as described in this safety assessment.
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、および、関連化粧品成分メタクリル酸メチルクロスポリマー、メタクリル酸メチル/グリコールジメタクリレートクロスポリマーは、化粧品においてフィルム形成剤および増粘剤として働くポリマーです。ヒトおよび動物の安全性データを含むいくつかの医療現場において、PMMA使用の安全性の食品医薬品局(FDA)による決定は、化粧品成分レビュー(CIR)エキスパートによる化粧品中のPMMAおよび関連ポリマーの安全性の基礎として使用されました。化粧品に使用されるPMMAは、医療機器と実質的に同じで、通常使用する分には化粧品成分として安全であると結論付けました。
(参考文献)Final report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel safety assessment of polymethyl methacrylate (PMMA), methyl methacrylate crosspolymer, and methyl methacrylate/glycol dimethacrylate crosspolymer.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21772027
潜在的なリスクはある
このメタクリル酸メチルクロスポリマーは、Google ScholarやPubmedなどで様々な文献を参照してみましたが、危険であるという記述やデータはほとんどありませんでした。むしろ、日焼け止めや化粧品に含まれている利益も害もあるスレスレの物質を薄めるのに使っているため、ないと困る物質でもあります。
温水ですぐに流せる性質があるので剥がれやすく、通常の温度でははがれにくいため、化粧品にぴったりです。肌に害もなくアレルギーを起こす心配もないというもので、メタクリル酸メチルクロスポリマー自体は目に入っても問題ないです。
気をつけないといけないのは、併用する場合です。湿布、虫除けスプレーなど肌に触れる他の物質と相互作用して反応する可能性がゼロではないですが、メタクリル酸メチルクロスポリマーの構造からして末端に-CH3がついて終わっているので、酢酸や硫酸など触媒も用いてをぶっかけないと反応はしないと思われます。
一般的な環境で使用する分にはリスクはほぼありません。アレルギーが起こる場合は他の物質を疑ったほうがいいです。
アリー
(引用※3)The present invention relates to a cosmetic composition containing a unique polymer blend, which includes: (a) a first polymeric film-former having a first glass transition temperature ranging from about −20° C. to about 0° C.; (b) a second polymeric film-former having a second glass transition temperature that is at least 50° C. higher than the first glass transition temperature; and (c) a third cross-linked polymeric film-former. The cosmetic composition of the present invention can be applied to human skin or keratinous fibers for forming a film thereon with exceptionally long wearability, reduced flaking and smudge properties, and good removability by warm water.
本発明は、下記を含む独特のポリマーブレンドを含有する化粧品組成物に関する研究結果です。
(a)約−20℃〜約0℃の範囲の第1のガラス転移温度を有する第1のポリマーフィルム形成剤
(b)第1のガラス転移温度より少なくとも50℃高い第2のガラス転移温度を有する第2のポリマーフィルム形成剤
(c)第3の架橋ポリマーフィルム形成剤
本発明の化粧品組成物は、非常に長い着用性、剥離および汚れ特性の減少、温水による良好な除去性を有するフィルムをその上に形成するため、ヒトの皮膚、または、ケラチン繊維に使用することができます。
※1(参考文献)Skin sensitization potency of methyl methacrylate in the local lymph node assay: comparisons with guinea‐pig data and human experience
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1600-0536.2006.00898.x
※2(参考文献)Bleach stable toothpaste
https://patents.google.com/patent/US6759030B2/en
※3(参考文献)Cosmetic Composition Containing a Polymer Blend
https://patents.google.com/patent/US20090035335A1/en
※4(参考文献)Original Contribution: Three clinical studies showing the anti‐aging benefits of sodium salicylate in human skin
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1473-2165.2010.00506.x