エチルヘキシルトリアゾンは情報非公開部分があり非推奨|日焼け止めの成分チェック
エチルヘキシルトリアゾン(Ethylhexyl Triazone)は、化学式C48H66N6O6、分子量823.07の比較的範囲の広い紫外線吸収剤で、4,4′,4"-(1,3,5-triazine-2,4,6-triyltriimino)tris-, tris(2-ethylhexyl) esterという名称でも知られており、CAS:88122-99-0、白~淡黄色粉末です。安全性に関する情報を隠すということは、理由があるということです。
エチルヘキシルトリアゾンの詳細・基本情報
エチルヘキシルトリアゾン(Ethylhexyl Triazone)は、化学式C48H66N6O6、分子量823.07の比較的範囲の広い紫外線吸収剤(314nm)で、化粧品には最大5%まで添加することが許されている親油性の成分です。生態毒性は低く、皮膚のケラチンと親和性があり、耐水性も期待できるとして、近年の最新の化粧品に、日焼け止め成分として添加されています。
4,4′,4"-(1,3,5-triazine-2,4,6-triyltriimino)tris-, tris(2-ethylhexyl) esterという名称でも知られており、BASFのUVINUL®T150では、CAS:88122-99-0、白~淡黄色粉末です。
エチルヘキシルトリアゾンの安全性・リスク
エチルヘキシルトリアゾンは、まだ不明な点が多い日焼け止め成分で、
For the cream with the nonencapsulated sunscreen agent, the percentage of the applied EHT dose diffused into the stratum corneum was 21.9 ± 4.9%, not significantly different from that of the smaller-molecular-weight OMC (22.2 ± 7.6%) and BMDBM (20.5 ± 3.7%). A marked (45.7%) and statistically significant reduction in the in vivo skin penetration of EHT was attained with the cream containing microencapsulated EHT. The decreased percutaneous penetration provided by the LMs should favor the efficacy of EHT and limit potential toxicological risks.
エチルヘキシルトリアゾンは、カプセル化されていない場合は21.9±4.9%の経皮吸収率、マイクロカプセル化されている場合は45.7%の経皮吸収率だったとのことで、潜在的な毒性リスクお制限に関する研究も進んでいます。
生態毒性はおそらく少ない
BEMT, DBT, ET, MBBT had no effect on the tested organisms, even at high concentrations (2 mg/L).
海洋生物のうち、独立栄養生物autotrophs (Tetraselmis sp.)と従属栄養生物heterotrophs (Artemia salina)のどちらにたいしてもエチルヘキシルトリアゾンは生態毒性を示さなかったとのことです。近年の化粧品は人体には無害でも他の生物には有害なケースが多い中、エチルヘキシルトリアゾンは、生物への影響は少なく、紫外線吸収能力は高いという成分です。
GHS Hazard Statements H413 (100%): May cause long lasting harmful effects to aquatic life [Hazardous to the aquatic environment, long-term hazard]
引用元:https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Ethylhexyl-triazone#section=Safety-and-Hazards
しかし、長期的には水生生物に悪影響があるかもしれないとするH413危険性報告があります。リスクがおそらくあるという報告と、それほどリスクはないとする報告の両者がありますが、数値で言えば2mg/Lを超える量は、水生生物に毒性を持つ可能性があると言えます。
情報源が制約されている
エチルヘキシルトリアゾンは、メリットはすぐに見つけられましたが、生物学的な実験報告やLD50に関する記載、その他皮膚刺激性等に関する発信にはフタがされている状態でした。
UVINUL T 150|Georges Walther
https://covalo.com/ingredients/permalink/georges-walther-uvinul-t-150
こちらなどから製造元に問い合わせをしないと、Safety Data Sheetなどを見れない状態で、安全性については再検証が難しい、または、不可能な状態です。この状態では、確認ができない上に、安全とは言えないため、潜在的リスクがある成分と考えるのが無難です。
光感作性があるとされるオクチルトリアゾンと構造がよく似ていることから、含有量の制限である1%~5%を超えての利用や長時間の使用、また湿布との併用などで光感作性をもち、肌荒れやアレルギーを起こす可能性があります。
安全性に関する情報を隠している、または、情報へのアクセスが非常に悪いため、知られると不都合がある・ビジネス的に困るなどの理由があると考えられます。不安に感じる方は使用を控えましょう。
出典・参考
Photoallergic contact dermatitis from the sunscreen octyl triazone
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12084089/
Effect of 10 UV Filters on the Brine Shrimp Artemia salina and the Marine Microalga Tetraselmis sp.
https://www.mdpi.com/2305-6304/8/2/29
Quantification of Sunscreen Ethylhexyl Triazone in Topical Skin-Care Products by Normal-Phase TLC/Densitometry
https://www.hindawi.com/journals/tswj/2012/807516/
In vivo Human Skin Penetration of the UV Filter Ethylhexyl Triazone: Effect of Lipid Microparticle Encapsulation
https://www.karger.com/Article/Abstract/493761
UVINUL T 150|Georges Walther
https://covalo.com/ingredients/permalink/georges-walther-uvinul-t-150