フェノキシエタノールは消毒&防腐剤&アレルゲンの可能性あり|日焼け止めの成分チェック
フェノキシエタノール(Phenoxy Ethanol)は、化学式C8H10O2、モル質量138.16g/molのバラのような香りのする油状の液体で、化粧品への利用は濃度1%を超えないレベルでのみ使用が許されています。消毒や防腐剤としての利用がほとんどで、危険物第4類第3石油類に分類される引火性液体でもあります。
フェノキシエタノールの性質
フェノキシエタノールは化学式C8H10O2、モル質量138.16g/mol、水への溶解度(100g)2.6g、融点-2度で、玉露やバラ、綿花の栽培地域などで感知される香り物質の正体でもあります。極微量(100g中1g未満)であれば使用に問題はないものの、フェノキシエタノールを基準値内で含む化粧品を複数重ねて使用したり、使用時間が長いとアレルギーや肌荒れの原因となる可能性があります。
パラベンやアルコールの代わりに添加物として利用されることもあり、結局はアレルギーを引き起こす可能性はある(11120人のうち10人程度の割合:リンク)ものの、パラベンなどに比べるとアレルギーのリスクは若干低いです。
消毒剤としての効能
フェノキシエタノールは、以下のようなグラム陰性菌およびグラム陽性菌に対して、殺菌効果を示します。
- 大腸菌
- 緑膿菌
- 黄色ブドウ球菌
- 酵母菌|コウジカビ
- カンジダアルビカンス
手指消毒用のアルコールと呼ばれる商品に含まれている場合には消毒目的、日焼け止めやスキンケア用品に含まれている場合には、防腐剤と菌類の繁殖防止と目的に含有されていると考えて良いでしょう。
危険性と注意点まとめ
調査結果をまとめると
- 目に使用しない
- 赤ちゃんのおしりふきに使用しない
- 経口摂取は誤飲でも絶対ダメ
- 0.1%の人はアレルギー反応あり
という所で、化粧品として洗い流すものに使われていても基本的には問題はありません。アレルギーが出る場合がありますので、もしアレルギーが出たらフェノキシエタノールが入っている化粧品や消毒剤の使用は中止しましょう。
フェノキシエタノールの安全性・リスク
In Europe, preservatives allowed for use in cosmetic products are regulated by Annex V of Cosmetics Regulation (EC) No. 1223/2009.10 According to this regulation, phenoxyethanol is authorized as a preservative in cosmetic formulations at a maximum concentration of 1% (Annex V/29). The safety profile of phenoxyethanol as a preservative in cosmetic products was assessed at the European level by the Scientific Committee on Consumer Safety (SCCS) in 2016.3 This assessment led the committee to conclude that phenoxyethanol was safe for consumers – including children of all ages – when used as a preservative in cosmetic products at a maximum concentration of 1%. However, the French National Agency for the Safety of Medicines and Health Products (ANSM) recommended that phenoxyethanol should not be used as a preservative in cosmetic products intended for application on the nappy area (including wipes) of children aged under 3 years.11 This recommendation was based on a worst‐case aggregate exposure calculation covering the five most used cosmetic products in French children. When wipes and cosmetic products intended for application to the nappy area were excluded from exposure calculation, the risk assessment conducted by the ANSM indicated that phenoxyethanol used at a maximum concentration of 1% in cosmetic products was also safe for children aged under 3 years.
ヨーロッパでは、化粧品への使用が許可されている防腐剤は、化粧品規制(EC)No.1223 / 2009の付録Vによって規制されています。この規制によれば、フェノキシエタノールは、最大濃度1%の化粧品配合物の防腐剤として認可されています。化粧品の防腐剤としてのフェノキシエタノールの安全性プロファイルは、2016年に消費者安全科学委員会(SCCS)によってヨーロッパレベルで評価されました。
この評価により、消費者安全科学委員会はフェノキシエタノールが最大濃度1%の化粧品の防腐剤として使用された場合、すべての年齢の子供を含む消費者にとって安全であると結論付けました。ただし、フランス国立医薬品安全庁(ANSM)は、3歳未満の子供のおむつ部分(おしりふきを含む)への塗布を目的とした化粧品の防腐剤としてフェノキシエタノールを使用しないことを推奨しています。
これは、フランスの子供たちに最も使用されている5つの化粧品を対象とした最悪の場合の総暴露計算に基づいています。おむつ部分への塗布を目的としたおしりふきや化粧品を暴露計算から除外した場合、ANSMが実施したリスク評価では、化粧品に最大濃度1%で使用されたフェノキシエタノールは3歳未満の子供にも安全であることが示されました。
皮膚への影響
動物や人体の皮膚に対する実験によると、肌につけた0.2および1%の濃度でのフェノキシエタノールのほとんどが経皮吸収されずに、洗い流された液体に存在すると確認されています。体内にわずかに吸収された場合は、皮膚、肝臓で代謝され、2-フェノキシ酢酸になって急速に代謝、排泄される事がわかっています。
経口摂取と毒性の出る量
In a study conducted in rabbits (six females in the control group and three females per dose group) exposed to a 10‐day treatment via the oral route, signs of haematotoxicity were reported at doses of 100 mg/kg bodyweight (bw)/day and above13 (Table 1).
In a 90‐day repeated dose toxicity study conducted in rats (10 animals per sex per dose), exposure via the oral route had effects on red blood cell parameters and led to histopathological changes in the kidney and urinary bladder at high doses, i.e. the lowest observed adverse effect level of 687 mg/kg bw/day for males and 1000 mg/kg bw/day for females [MHLW Japan Bioassay Research Centre (2003), Study No. 459, unpublished study as cited by the SCCS3] (Table 1).
10日間経口投与を受けたうさぎが血液毒性を示した量は「100 mg / kg体重(bw)/日」とされ、ラットに90日間の反復投与の結果腎臓と膀胱に悪影響を与えた量は、オスで687 mg / kg体重/日、メスで1000 mg / kg体重/日だったとされています。
基本的にフェノキシエタノールは経口摂取されないものとして化粧品に配合されますが、幼い赤ちゃんが誤って日焼け止め、ハンドクリームなどを食べてしまうと急性毒性、血液毒性を示す可能性があるので、化粧品類は赤ちゃんの口にしない、手の届かないところに保管するようにしましょう。
発がん性について
厚生労働省日本バイオアッセイ研究センターが行ったラットの実験によると、510 mg / kgbw /日の大量経口摂取でオスのみ腎臓に軽度から中等度の発がん作用があったと報告されています。メスにはこのような作用はなかったそうですが、オスのみ大量に経口摂取してしまうと発がん性のリスクがあるという報告です。
こちらもフェノキシエタノールはほとんど経口摂取されることはないのでそこまで怯えて避ける必要はないでしょう。
出典・参考
化粧品成分オンライン|フェノキシエタノール
Opinion of the Scientific Committee on Consumer Safety (SCCS) – Final version of the opinion on Phenoxyethanol in cosmetic products
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0273230016303282
Safety review of phenoxyethanol when used as a preservative in cosmetics
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jdv.15944