EDTA-3Naは化粧品利用ではほぼ無害|日焼け止めの成分チェック
EDTA-3Na(Trisodium EDTA|Ethylenediamine-N,N,N’,N’-tetraacetic Acid Trisodium Salt Trihydrate)は、化学構造C10H13N2Na3O8·2H2O、分子量394.22~412.24で、化粧品中のpHを調整するキレート作用目的で日焼け止めや化粧品に含有されます。別名:エデト酸三ナトリウムとも。
EDTA-3Naの詳細・基本情報
EDTA-3Naは、金属キレート剤として利用されることが多く、化粧品中ではpHバランスや金属を含む成分の安定性を持たせるための成分として含有されます。液体中のpHバランスを維持するため、EDTA-3Naが多く含まれている化粧品をそのまま使用して川に流したり、意図的に河川に抽出させれば水質が崩れて環境破壊につながります。
化粧品中では、人の肌や体に害が出ないような目的で少量添加されるため、それほど肌荒れやアレルギー症状を招くことはありません。
EDTA-3Naの安全性・リスク
ここではEDTA-3Naのリスク、皮膚からの吸収リスクなどについてまとめています。
経口摂取|ほとんどが排泄
通常経口投与では腸管を通過するEDTA及びその塩の割合はラットで2~18% (Foreman et al., 1953)、ヒトで最大5% (Foreman and Trujillo, 1954) 程度であり、経口投与量のほとんどは未変化で糞中に排泄される。
https://www.cerij.or.jp/evaluation_document/yugai/60_00_4.pdf
EDTA-3Naは、人の腸管を最大5%ほど通過するとのことですが、そのほとんどは大便として排泄されます。
皮膚透過性はない
代謝回転時間はラット筋肉内投 与で約50分、ヒト静脈内及び筋肉内投与で1~1.5時間と非常に短い。呼気中への排出及び皮膚 透過性は実質的にない (Foreman et al., 1953; Foreman and Trujillo, 1954)。 EDTAが体内の各種金 属とキレートを作ることにより、体内の金属(Ca、Zn、Mn等)が定常貯蔵組織から移動しバラ ンスをくずす (Ibim et al., 1992)。 又、特異的に蓄積される器官はなく、経口投与を除きそのほ とんどが尿中へ排出される。
https://www.cerij.or.jp/evaluation_document/yugai/60_00_4.pdf
記載されている通り、
- 筋肉内投与で1時間から1.5時間で代謝
- 皮膚透過性はない
- 体内の微量金属バランスが一時的に崩れる
- 特別体内に蓄積されない
- 経口投与以外は尿として排泄
といったリスク、現象が把握されています。基本的に皮膚から浸透しない上に、万が一浸透したとしても数時間で尿中から排泄されていくとのことなので、ひどく危険なものではありませんが、体内に入れることがないようにしましょう。
EDTA-3NaのLD50【急性毒性】
EDTA-3Naの急性毒性は
- ラット|経口2,150mg/kg
- マウス|経口2,150mg/kg
- マウス|腹腔内300mg/kg
といったところで、経口投与を体重50kgの人間に置き換えた場合は
2,150mg × 50
=107,500mg(107.5g)
と、そうとうな量となるため、現実的ではないと考えられます。
皮膚刺激性はEDTA-4Naに
出典:Ceri
上記出典画像より、EDTA-4Naに関しては皮膚刺激性がある事がわかっていますが、EDTA-3Naに関しては記載はありませんでした。Ceriの記載ではアルビノのオスのモルモットに対して、EDTA-3Naを背面皮膚に10日で4回貼り付けても皮膚感作性はなかったと報告されています。
出典・参考
化粧品表示名称 成分詳細|EDTA-3Na
https://www.cosmetic-info.jp/jcln/detail.php?id=504
エチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸三ナトリウム塩三水和物|FUJIFILM
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/product/detail/W01T02N002.html
エデト酸三ナトリウム
https://www.chemicalbook.com/ChemicalProductProperty_JP_CB8853130.htm
X-Ray Photoelectron Spectroscopy of EDTA
https://www.journal.csj.jp/doi/abs/10.1246/bcsj.47.50
Ceri|有害性評価EDTA
https://www.cerij.or.jp/evaluation_document/yugai/60_00_4.pdf