酸化チタンは吸入しなければ大丈夫|日焼け止めの成分チェック

酸化チタン(titanium oxide、主に酸化チタンⅣ:titanium(IV) oxide、TiO2、密度:4.23 g/cm³、モル質量:79.866 g/mol、融点:1,843℃)は、チタニアとも二酸化チタンとも呼ばれる無機化合物です。400nmより短い波長の光を吸収するため、日焼け止めにもよく入れられています。

日焼け止めに欠かせない成分の一つ。粉末を鼻から吸わなければ大丈夫。吸うことはほとんどないでしょう。URLでTiOとする所、SiOと間違えてしまいましたが、このページは酸化チタンについての解説です。

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アリー

 

吸入した場合に発がん性があることが分かっているため、酸化チタン入り日焼け止めファンデーションなどは、絶対に吸入しないようにしてください。

 

酸化チタンとは

化粧品、日焼け止めにも使用され、構造としてルチル型、アナターゼ型などに分類され屈折率(光の反射具合)に差が出ます。

2種類の型があり、ちょっとずつ違いがあるけれど、ただの豆知識。

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アリー

 

たまに成分表で見かける「微粒子酸化チタン(微粒酸化チタン)」は、

  • 透明感がある
  • 使用感がよい
  • 400nm未満の紫外線吸収能(UV-A・UV-B)

とメリットの揃った化粧品として使用できます。微粒酸化チタンの方が使用感がよく、透明感も出て、白浮きせず、配合されている他の成分によってはHIGHLIGHT(ハイライト)効果がのるので、日焼けしてしまったあとのスキンケアなどで、日焼けを少し隠すこともできるでしょう。

「微粒」と書いてあればちょっと性能が良くて、良い使用感だと思っていればOK。

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アリー

 

酸化チタンの紫外線吸収能

酸化チタンは、波長280nm~340nmくらいの光(UV-B)の吸収に優れていますが、それ以上の波長の紫外線吸収能は内に等しいため、酸化亜鉛を一緒に含ませることで波長310nm~390nmくらいの光(主にUV-A)の紫外線も吸収させて「日焼け止め」としての効果を発揮させる事が多いです。

【紫外線の種類】

  • UV-A:320~400nm
  • UV-B:280~320nm

酸化チタンはUV-Bの方を防ぐのを助けてくれます。

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アリー

 

もちろん、これら酸化チタン、酸化亜鉛以外にも紫外線を吸収する成分を合わせることで、長時間の日焼け止め、より幅広い範囲の波長の紫外線を阻害するように作られます。

 

触媒と光刺激・酸化刺激について

非常によくまとまっているため、以下引用。酸化チタンが含まれている場合は、その酸化チタンの持つ触媒としての作用が光毒性などの影響を肌に及ぶす可能性があるため、酸化チタン微粒子表面をまんべんなくコーティングして、肌荒れなどが起こらないようにしないといけません。

 

また、酸化チタンは光触媒作用を有しており、光を受けると表面で強力な酸化力を発揮するため(文献17:2012 Y Li, et al(2012)「Mechanism of photogenerated reactive oxygen species and correlation with the antibacterial properties of engineered metal-oxide nanoparticles.」ACS NANO(6)(6),5164-5173.)、工業的にはこの性質を利用して難分解性の物質を分解するのに使用されていますが、皮膚表面でその酸化力を発揮されると安全性を著しく損なうことから、必ず何らかの表面コーティング処理を行い、酸化力を抑制した上で化粧品に配合されます。

このような背景から、酸化チタンが配合されている場合は、一例として表面処理剤・分散剤として一緒に、シリカ、水酸化Al、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、トリエトキシカプリリルシラン、ハイドロゲンジメチコン、イソステアリン酸、ステアリン酸、アルミナ、ポリアクリル酸Naなどのいずれかまたは複数の成分が表示一覧の末尾に記載されます。

出典:化粧品成分オンライン

 

また、上記引用にもあるように、酸化チタンが密集して配合されていると意味がないため、表面コーティングと分散のために必ずと言ってよいほど他の物質が使用されます。

 

これが吉と出るか、凶と出るか、組み合わせによっては肌荒れを引き起こすことになりますので、一応理解だけしておきましょう。

触媒として働く場合があるので、そうなると肌荒れ、刺激になるの。

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アリー

 

安全性評価

吸入による発がん性についてはこちらのページもご覧ください。

【赤ちゃんにはダメ】微粒二酸化ケイ素とは?大人も摂取しすぎないで【学術論文】

https://genussmittel.biz/sio2-sirika-nisankakeiso

ここで扱っているのはケイ素(Si)ですが、チタン(Ti)でも似たようなリスクが有ることを確認してください。

 

反応性に関するリスク

The extrapolated optical absorption gaps of anatase and rutile are 3.2 and 3.0 eV at room temperature, which correspond to wavelengths of around 413 nm and 387 nm. Consequently, the photo-activation of nano-TiO2 can be achieved by irradiation with UV-A, B and C, visible, fluorescent light, and X-ray radiation. The photocatalytic activity results in formation of highly reactive radicals, that are capable of reacting with most of the surrounding organic substances.

出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3423755/

アナターゼ型とルチル型の外挿された光吸収ギャップは、室温で3.2 eVと3.0 eVであり、約413 nmと387 nmの波長に対応します。 その結果、ナノTiO2の光活性化は、UV-A、UV-B、UV-C、可視光線、蛍光灯、X線の照射により達成できます。 光触媒活性により、反応性の高いラジカルが形成され、周囲のほとんどの有機物質と反応することができます。

 

これが意味することは、より微細な酸化チタンほど日焼け止めや化粧品に含まれている様々な物質、肌表面で重ね塗りされた化粧品、肌細胞表面に対して反応性が高くなり、刺激を与えるということです。

重ね塗りするのはあんまり良くないこともある。化粧水、乳液、ファンデーションみたいに重ねるのもあまり…よくない。

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アリー

 

微細な酸化チタンの方が化粧品としての魅力や期待値は高いですが、肌荒れを起こす方が多くなるため、敏感肌の方は微細酸化チタン(微粒酸化ケイ素とも)が入っているものは使わないほうが良いでしょう。

 

免疫毒性について

酸化チタンは、免疫系に対しても問題を起こす可能性があります。免疫細胞に取り込まれて炎症反応を起こす可能性があるとされ、傷口や粘膜への使用は控えたほうが良いでしょう。日焼け止めはそもそも傷口やニキビ跡、肌荒れしたあとの皮膚には使わないのが原則ルールですが、万が一触れてしまうこともないように注意しましょう。

傷口から血管に入るのは良くないです。大量でなければ大丈夫だけど、患部で炎症が起きるかも。

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アリー

 

Depending on physicochemical properties of NPs, they are recognized and taken up by immune cells, such as macrophages, monocytes, platelets, leuko-cytes and dendritic cells, and can trigger an inflammatory response. In a human monoblastoid cell line (U937) exposure to TiO2 NPs induced apoptosis and necrosis in concentrations corresponding to those found in blood, plasma, or in tissues surrounding Ti implants.

出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3423755/

NPの物理化学的特性に応じて、マクロファージ、単球、血小板、白血球、樹状細胞などの免疫細胞に認識されて取り込まれ、炎症反応を引き起こす可能性があります。 ヒト単芽球細胞株(U937)のTiO2 NPへの暴露は、血液、血漿、またはTiインプラント周囲の組織に見られる濃度に対応する濃度でアポトーシスと壊死を誘発しました。

 

皮膚浸透性について

The skin of an adult person is, in most places, covered with a relatively thick (∼10 μm) barrier of keratinised dead cells. One of the main questions is still whether TiO2 NPs are able to penetrate into the deeper layers of the skin.75 The majority of studies suggest that TiO2 NPs, neither uncoated nor coated (SiO2, Al2O3 and SiO2/Al2O3) of different crystalline structures, penetrate normal animal or human skin.76,77–82 However, in most of these studies the exposures were short term (up to 48 h); only few long-term or repeated exposure studies have been published. Wu et al.83 have shown that dermal application of nano-TiO2 of different crystal structures and sizes (4–90 nm) to pig ears for 30 days did not result in penetration of NPs beyond deep epidermis.

出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3423755/

成人の皮膚は、ほとんどの場所で、ケラチン化死細胞の比較的厚い(〜10μm)障壁で覆われています。 主な疑問の1つは、依然としてTiO2 NPが皮膚のより深い層に浸透できるかどうかです75。研究の大部分は、異なる結晶構造のコーティングされていない、コーティングされていない(SiO2、Al2O3、SiO2 / Al2O3)TiO2 NP、 通常の動物または人間の皮膚に浸透する。 長期または反復暴露研究はほとんど発表されていません。 Wu et al.83は、異なる結晶構造とサイズ(4〜90 nm)のナノTiO2を30日間ブタの耳に真皮に塗布しても、深い表皮を越えてNPが浸透しないことを示しました。

 

微細な酸化チタンはそのサイズが小さいため皮膚に浸透する可能性がありますが、48時間未満の暴露試験では皮膚への浸透性は危険なレベルに達しないと言われています。

 

豚の耳の皮膚に30日間ナノ酸化チタンを暴露しても浸透はしなかったとする実験結果があることから、皮膚深部まで浸透していく心配はなさそうです。

お肌に浸透していって危険なレベルになるってことはないです。そういう事言ってる人がいたら化学で否定しましょう。でも、肌に使ったら早めに化粧落としできれいにしましょう。

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アリー

 

傷口に塗ると傷口から体内にゼロ距離で入りますので、傷口には塗らないでください。

 

Posted by Medic