ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル｜日焼け止めの成分チェック

2020年3月14日

PV：2,182

ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル（2-[4-(Diethylamino)-2-hydroxybenzoyl]benzoic Acid Hexyl Ester）は、INCI名：DIETHYLAMINO HYDROXYBENZOYL HEXYL BENZOATEとも呼ばれ、日焼け止めに含まれていることがある成分の一つです。Uvinul(R) A Plus Granularなどの名称で販売されており、UVA領域の紫外線を吸収し、油にもよく溶ける性質があります。

1. ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの性質
2. 安全性・リスク評価
- 2.1. 12時間未満の使用で皮膚浸透はしにくい
3. 参考

ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの性質

化学式C₂₄H₃₁NO₄、モル質量397.51 g/mol、CAS：302776-68-7の紫外線吸収剤（芳香族エステル）です。極性油相溶性があり、化粧品、日焼け止め、ファンデーションなどに配合しやすい物質で、光毒性も少ない物質としてよく利用されます。略してDHHBとも呼ばれます。

紫外線UV-Aは320nm～400nmの範囲にある紫外線のことで、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル（Diethylamino hydroxybenzoyl hexyl benzoate）はこのUVAの紫外線を吸収してくれます。金属が含有される酸化亜鉛などと置き換えて利用されると、金属アレルギーの方、敏感肌の方でも利用しやすい日焼け止めにできるでしょう。

安全性・リスク評価

法律により、肌に使用される化粧品などでは10%未満の含有が許されています。

粘膜に使用されず洗い流すもの
粘膜に使用されず洗い流さないもの

両者ともに100g当たりに含んで良いのは10%に当たる10gまでとされているため、化粧品において含有量がオーバーしているものはほとんどないと考えても良さそうです。

粘膜には使っちゃダメ！

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アリー

安息香酸という名前が入っている成分ですが、安息香酸とは構造が異なりますので、安息香酸にリスクがあるからといって一概に「ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル」まで危険だとする表現は間違いで、違法（※間違いの記述があるexcite記事の参考｜リンク）です。

12時間未満の使用で皮膚浸透はしにくい

Franz cell permeation studies were conducted following application of finite doses of the formulations to excised porcine skin. A vehicle formulation containing no sunscreens was evaluated as a control. Permeation studies were conducted for 12 h after which full mass balance studies were carried out. Analysis of individual UV sunscreens was achieved with HPLC following application of the formulation to the skin with no interference from the vehicle components. No skin permeation of any of the chemical sunscreens was evident after 12 h.
引用：https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378517316305178

切除されたブタ皮膚に有限用量の製剤を適用した後、フランツ細胞透過試験を実施した。日焼け止め剤を含まないビヒクル製剤を対照として評価した。透過試験は12時間後、完全な物質収支研究が実施された。個々のUV日焼け止めの分析は、製剤を皮膚に適用した後、ビヒクル成分からの干渉なしにHPLCで達成されました。12時間後、化学日焼け止めの皮膚浸透は見られませんでした。

引用ここから
Based on the findings of a rat study assessing dermal or percutaneous absorption, only a minor amount of diethylamino hydroxybenzoyl hexyl benzoate will undergo percutaneous absorption and most of the compounds will remain in the upper layers of the stratum corneum. In rat and porcine skin, the percutaneous absorption was 0.10 ± 0.12 μg/cm^2 or 0.04 ± 0.05%.
In steady-state and transient photolysis experiments in vitro, diethylamino hydroxybenzoyl hexyl benzoate may be oxidized by H2O2/UV to form degradation products. Like other UV filters, diethylamino hydroxybenzoyl hexyl benzoate may be subject to photodegradation upon absorption of UV radiation, which results in the compound passing from a ground state to either a singlet or triplet excited state.
In a rat acute oral toxicity study, median LD50 value was reported to be >2000 mg/kg. No case of overdose has been reported. Diethylamino hydroxybenzoyl hexyl benzoate was not shown to be mutagenic, clastogenic, or phototoxic in vitro. The no observed adverse effect level (NOAEL) 200 mg/kg bw/day for maternal toxicity, and 1000 mg/kg bw/day (highest applied dose) for prenatal developmental toxicity.
引用ここまで
引用：https://www.drugbank.ca/drugs/DB11269

経皮吸収または経皮吸収を評価するラット研究の発見に基づいて、少量のジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシル安息香酸のみが経皮吸収され、ほとんどの化合物は角質層の上部層に残ります。ラットおよびブタの皮膚では、経皮吸収は0.10±0.12μg/cm²または0.04±0.05％でした。

in vitroの定常および一過性光分解実験では、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートは、H2O2 / UVによって酸化され、分解生成物を形成します。他のUVフィルターと同様に、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートは、UV線の吸収時に光分解を受け、化合物が基底状態から一重項または三重項励起状態に移行する可能性があります。

ラットの急性経口毒性試験では、LD50値の中央値が2000 mg / kgを超えることが報告されています。過剰摂取の症例は報告されていません。ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートは、in vitro で変異原性、染色体異常誘発性、また、光毒性であることが示されていません。母体毒性では200 mg / kg体重/日、出生前発生毒性では1000 mg / kg体重/日（最高適用用量）の有害作用レベル（NOAEL）は観察されていない。

※in vitro＝試験管内（試験環境内）で

これらを簡単にまとめると次のようになります。