ステアリン酸は化粧品利用では安全|日焼け止めの成分チェック
ステアリン酸は化学式C18H36O2、モル質量284.48g/molの動植物の脂肪としてよく含まれている飽和脂肪酸(Cが12個以上の脂肪酸)です。水への溶解度は3mg/L、融点約69度で化粧品などに添加して肌のバリア機能を維持するのに役立てられます。基本的に安定しており、肌への危険性は低い物質(基本的に毒性なし)です。
ステアリン酸の性質・詳細
ステアリン酸は化学式C18H36O2、モル質量284.48g/mol、水への溶解度は3mg/L、融点約69度、発火温度395度、IUPAC名ではオクタデカン酸とも呼ばれ、ほとんど害はない脂肪酸です。直射日光は避け、冷暗所に密閉保存。白色固体、粉末状で保管されていることもあり、化学実験室レベルでは使用時に吸入してしまう恐れもありますが、吸入はできる限り避けて下さい。
ステアリン酸を多く含む食材は
- 牛脂ラード
- 牛リブロース
- 豚ロース
- チョコレート
- 有塩バター
- ココア
- カレールウ
- ショートニング
- ごま油
で、融点が69度であることを考えると人体内では代謝されはするものの、固体の形で残りやすい可能性があることを意識して食事を選ぶと良いかもしれない。
健常成人男性(6 名)に対し、一定成分の食事を 16 日間摂食させ、8 日目、11日目及び 14 日目のいずれかの日の朝食時に、表 2 のような投与群を設定して、[13C]ステアリン酸、[13C]オレイン酸又は[13C]リノール酸のいずれかのカプセルをそれぞれ無作為化した順序で経口摂取させ、各脂肪酸の吸収率を測定する試験が実施されている。
その結果、8 日目から 16 日目までの脂肪酸の吸収率は、[13C]ステアリン酸で78.0%、オレイン酸で 97.2%、リノール酸で 99.9%となり、ステアリン酸の吸収率はオレイン酸及びリノール酸と比べて低かった。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000146940.pdf
厚生労働省の発表によるとステアリン酸は
1人1日摂取量:3.26 g
とされており、牛肉にすると200g程度までは許容量と考えられます。1日に牛肉を1kgも食べるとステアリン酸に限らずさまざまな成分の摂取のし過ぎになります。
ステアリン酸の安全性・危険性
ステアリン酸は、化学安全データシートによると
- 急性毒性経口:なし
- 急性毒性経皮:なし
- 皮膚刺激性:なし
- 皮膚感作性:なし
とあります。可燃性の物質なので、燃えてしまった場合は、粉末消火剤、泡消火剤、水噴霧(棒状放水は禁止)、二酸化炭素による消火を試みましょう。
目に入れないこと
目に入ってしまった場合は流水で15分以上洗うべきとされており、コンタクトをしていた場合は直ちに外して同じく15分以上洗浄する必要があります。
経口摂取しないこと
飲み込んでしまった場合、急性毒性はないですが、できるだけ吐き出させるようにする必要があります。ごく微量であれば現場の専門家の指示に従い、様子を見ても良いですが、基本的に目に入れず、飲み込まないようにしましょう。
動物実験のLD50
Stearic Acid was administered to groups of 16 Swiss-Webster mice at doses of 0.05 mg and 0.5 mg weekly for a total of 26 injections.(*15) After 18 months, 10 mice were alive in the group given the lower dose, and 6 mice were alive in the group given the higher dose. A third group of 15 Swiss-Webster mice was given injections of 1.0 mg Stearic Acid 3 times per week for a total of 10 injections. Eight mice were alive after 12 months, and 1 was alive after 18 months. A fourth group of 10 BALB/c mice was given injections of 1.0 mg Stearic Acid twice weekly for a total of 82 injections. Seven mice were alive after 18 months. No neoplasms were found in these four groups.
ステアリン酸は、Swiss-Websterマウス16匹のグループに毎週0.05mgと0.5mgの用量で合計26回の注射で投与されました。18ヶ月後、10匹のマウスが低用量のグループで生存し、6匹が より高い用量を与えられたグループでは、マウスは生きていた。 15匹のSwiss-Websterマウスの3番目のグループには、1.0 mgのステアリン酸を週に3回、合計10回注射しました。 10BALBの4番目のグループ8匹のマウスは12ヶ月後に生きていて、1匹は18ヶ月後に生きていました。
ラットとうさぎのLD50は、次の通り。
- ラット経口LD50:4600mg/kg
- うさぎ経皮LD50:5gm/kg
水生生物に対しては有毒で、ステアリン酸の入っているハンドクリームなどを使用している素手で、水生生物飼育水槽のメンテナンスをすると飼育生物が死に至る可能性がある。
出典・参考
安全データシート
http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/19649250.pdf
A liquid crystal application in skin care cosmetics
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1046/j.1467-2494.1998.171741.x
Final report on the safety assessment of oleic acid, laurie acid, palmitic acid, myristic acid, and stearic acid
食品健康影響評価の結果の通知について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000146940.pdf