水酸化ナトリウムは化粧品利用目的では低リスク|日焼け止めの成分チェック
水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)は、化学式NaOH、モル質量約40g/mol(39.997)、潮解性のある無色無臭の固体(常温)で、化粧品にはpH調整剤としてごく少量(7%に満たない濃度が多数)のみ添加されます。化粧品の安全性を高める目的で添加されるため、単体での水酸化ナトリウムを恐れるのとは異なります。
水酸化ナトリウムの詳細・基本情報
水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)は、化学式NaOH、モル質量約40g/mol(39.997)、潮解性のある無色無臭の固体(常温)で、化粧品にはpH調整剤としてごく少量(7%に満たない濃度が多数)のみ添加されます。単体の水酸化ナトリウム5%水溶液以上のもの、高濃度のものは毒物劇物に指定されており、化粧品にその濃度で、単一で含まれることはありません。
水酸化ナトリウム(アルカリ性)は酸(酸性)と反応して中和され、無害な塩を作ります。化粧品に水酸化ナトリウムがごく微量含まれるのも、化粧品が酸性を帯びて逆に危険になるのを防ぐためで、さまざまな化学物質の中で比較的シンプルで単純なNaOHがこのpH調整剤に使用されます。例えば
NaOH + HCl → NaCl + H2O
というように、水酸化ナトリウムと塩酸が反応すると、中和されてNaCl:塩化ナトリウム(食塩)と水が出来上がり、人体には無害であることは説明するまでもありません。ただし、水酸化ナトリウムと塩酸が別々に存在していて、人に触れる場合には悪影響を及ぼし化学やけどなどを起こします。
これと同じで、化粧品に含まれている様々な酸性よりの添加物と水酸化ナトリウムを合わせることで、pHを肌に害がないレベルに維持しつつ、皮膚刺激性などを持たせないようにするために添加されます。
水酸化ナトリウムの安全性・リスク
以下の動物実験や人間への試験で使用されているのは化粧品ではなく、水酸化ナトリウム単体の話です。
Sodium hydroxide is used at up to 10% in an “other” skin care preparation, which may or may not be a leave-on formulation. The next highest concentration of use reported for sodium hydroxide in a leave-on formulation is 6.9% in a face or neck formulation. Potassium hydroxide is used at up to 7% in a leave-on body and hand formulation.
水酸化ナトリウムは、最大で10%濃度まで使用され、首や顔に使用するリーブオン化粧品では6.9%以下、身体や手に使用するリーブオン化粧品には7%より多く添加される場合もあります。
Oral studies of sodium hydroxide led to extensive gastric damages in the animal tested.In dermal toxicity studies, calcium hydroxide had an LD50 >2.5 g/kg bodyweight in rabbits, and mice treated with 50% sodium hydroxide had better survival rates when the test compound was washed off within an hour of application.
水酸化ナトリウムは、動物実験では経口摂取させると胃の広範を損傷させますが、50%濃度の水酸化ナトリウムをマウスの皮膚に使用しても生存率は高かったとの報告があります。また、ラットへの吸入試験では、LC50:>0.75mg/l(2時間暴露)で高濃度でなければ、リスクは低いと考えられます。
Genotoxicity studies are presented in Table 8. 7-10,27 Calcium hydroxide, magnesium hydroxide, and sodium hydroxide were not genotoxic in several different in vitro assays.
水酸化ナトリウムには遺伝毒性はないとのことです。遺伝子に作用するよりも前に、その生命の皮膚や臓器を腐食するため、遺伝するほどの悠長な作用はないということで、よりリスクはある物質です。
potassium hydroxide and sodium hydroxide were corrosive at concentrations as low as 1%.In humans, sodium hydroxide was irritating at concentrations as low as 0.5%.
皮膚刺激性については、1%濃度の水酸化ナトリウムでも皮膚腐食性があったとのことです。人間の皮膚の場合は、水酸化ナトリウム濃度0.5%でも腐食性が発揮されるとのことです。
実際の化粧品では、水酸化ナトリウムの添加により、pHが調整され、水酸化ナトリウムは形が変化しており、濃度も0.0001%よりも実質低く、pH調整のためにほぼその機能は添加された時点で終わっています。水酸化ナトリウムの残留があったとしてもごく少量で、人への皮膚刺激性はほとんど心配ありません。
ただし、実験室レベルで仮製造したものや、混合、調製を誤っている場合にはその限りではありません。
出典・参考
CIR:Safety Assessment of Inorganic Hydroxides as Used in Cosmetics
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR703.pdf