ミリスチン酸イソプロピルはほぼ安全|日焼け止めの成分チェック
ミリスチン酸イソプロピル(Isopropyl myristate:沸点:167℃、C17H34O2、270.451 g/mol)は、脂肪酸エステルの一種で、別名テトラデカン酸イソプロピルとも呼ばれます。構造的には皮膚に浸透しにくい油のような印象の物質で、角質層までしか浸透しない化粧品成分として利用されることが多いです。危険性はそれほどありません。
危険どころか、入ってたほうが化粧品の使用感が良くなるかも。リスクはほとんど無いです。
アリー
ミリスチン酸イソプロピルとは
ミリスチン酸イソプロピルは、皮膚への吸収性はほとんどなく、光毒性もほとんど心配なく、安全性は十分考慮されている物質ですが、危険物第4類第三石油類に分類されている可燃性の物質でもあります。
- エモリエント剤
- 乳化剤
- 化粧品の基剤
- サラサラ感があるツヤ出し
などを目的として利用されます。
一応燃えますが、化粧品に入ってるくらいの濃度では気にしなくて大丈夫だと思います。
アリー
化粧品、ヘアトリートメント、ヘアオイルなどにも含まれていることがありますが、ほとんど危険はありません。
安全性評価
Skin Safe(肌への影響)
表皮(肌の外側)の角質層までしか浸透しないとされていますが、化粧品として一緒に含まれている他の物質の影響で、光刺激による光毒性、肌荒れ、発疹が起こる可能性があります。
表皮の角質層までしか浸透しないため、真皮まで届いてお肌を良くするというような謳い文句の化粧品にはその効果はありません。
角質層という表面までしか届かないのですぐに洗い落とせます。真皮まで届いて、ターンオーバーを早めるなんてことは無理です。
アリー
また、化粧品を使用して肌荒れが起きた時、ミリスチン酸イソプロピルはその原因ではない可能性が高いです。一緒に配合されている他の化粧品を疑いましょう。
肌荒れが起きた場合の原因はこれ以外の成分でしょう。
アリー
EPA Safer Choice
Green half-circle – The chemical is expected to be of low concern based on experimental and modeled data. Additional data would strengthen EPA’s confidence in the chemical’s safer status.
出典:https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Isopropyl-myristate#section=GHS-Classification
このミリスチン酸イソプロピルという化学物質は、実験データおよびモデル化されたデータに基づいて懸念が低いと予想されます。追加のデータは、化学物質のより安全な状態に対するEPAの信頼を強化するでしょう。
EPAのデータ分析ではリスクは低いとのことです。
アリー
European Commission, ESIS; IUCLID Dataset
Isopropyl Myristate (110-27-0) (2000 CD-ROM edition) contains information on use, toxicology, and environmental effects of this chemical as supplied to the European Union by industry.
出典:https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Isopropyl-myristate#section=FIFRA-Requirements
ミリスチン酸イソプロピル(110-27-0)(2000 CD-ROM版)には、業界から欧州連合に供給されたこの化学物質の使用、毒物学、環境への影響に関する情報が含まれています。
Monograph on fragrance raw materials; Food Cosmet Toxicol 14 (4): 307-38 (1976). Prepn, cosmetic and perfume uses, legal status of use in food, metab, carcinogenic potential, pharmacology, and toxicology of isopropyl myristate are reviewed.
出典:https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Isopropyl-myristate#section=FIFRA-Requirements
フレグランス原料に関するモノグラフ; Food Cosmet Toxicol 14(4):307-38(1976)。 化粧品、香水の使用、食品での法的使用状況、代謝、発がん性、薬理学、ミリスチン酸イソプロピルの毒性学がレビューされています。
びっくりするぐらい大量に消費すると害はあるけれど、それ以外の化粧品で使うくらいの量では害は起こりようがありません。
アリー
農作物への影響
Residues of isopropyl myristate are exempted from the requirement of a tolerance when used in accordance with good agricultural practice as inert (or occasionally active) ingredients in pesticide formulations applied to growing crops or to raw agricultural commodities after harvest. Use: solvent.
ミリスチン酸イソプロピルの残留物は、栽培中の作物、または、収穫後の農産物に適用される農薬製剤の不活性(または活性のある)成分として、適正に使用される場合、耐性要件から免除されます。
農作物に使用したとしてもそれほどリスクはなく、まぁまぁ安全です。
アリー
致死性・致死量について
「Journal of the American College of Toxicology., 9(2)(247), 1990」と「Journal of the American College of Toxicology., 11(43), 1992」のリファレンスを元にラットでの致死量が研究されていました。
- ラット(LDLo) 経口 >16 gm/kg (16000 mg/kg)
- ラット(LC) 吸入 >41 gm/m3/1H (41000 mg/kg)
- ラット(LD50) 腹腔内 >79500 mg/kg (79500 mg/kg)
- マウス(LD50) 経口 49700 mg/kg (49700 mg/kg)
- マウス(LD50) 皮下注入 > 50200 mg/kg (50200 mg/kg)
出典:https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Isopropyl-myristate#section=Toxicological-Information
出典そのまま誤字あるまま記載しました。gmじゃなくてmg(ミリグラム)だと思います。
アリー
マウスの場合、体重1kgあたり49.7g(49700mg)の摂取がLD50(半数致死量:Wikipedia)です。
※LD:半数致死量(Lethal Dose)
※LDLo:最小致死量(Lowest published lethal dose)
※LC:致死濃度(Lethal Concentration)
マウス基準のまま計算すると、体重60kgの人の場合、ミリスチン酸イソプロピルを2982g(2.982kg)経口摂取すると半数致死量です。相当な量なので、現実的には無理があり、胃袋的にも無理があります。
ステーキ肉ですら300g食べきるのにお腹キツキツなのに、約3kgものミリスチン酸イソプロピルを摂取するとか無理。しかも、摂取したとしても半数は生き残ります。
アリー
出典
Pubchem|COMPOUND SUMMARY「Isopropyl myristate」
参考:https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Isopropyl-myristate
Final Report of the Amended Safety Assessment of Myristic Acid and Its Salts and Esters as Used in Cosmetics
参考:https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PR504.PDF