ジステアリルジモニウムクロリドは皮膚刺激性あり|日焼け止めの成分チェック

ジステアリルジモニウムクロリド(Dioctadecyl dimethyl ammonium chloride|DODAC)は、化学式C38H80ClN、分子量586.5、比重0.83で、化粧品には乳化剤として含まれますが、目刺激性と水生生物への毒性があるため注意が必要です。別名ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド。

ジステアリルジモニウムクロリドの詳細・基本情報

ジステアリルジモニウムクロリド(Dioctadecyl dimethyl ammonium chloride)は、化学式C38H80ClN、分子量586.5、比重0.83、融点72~122℃で、常温25度では白~褐色の粉末状固体です。水にもエタノールにも溶けるため化粧品には、乳化剤として添加されます。別名ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド。

 

ジステアリルジモニウムクロリドの安全性・リスク

目と水生生物への危険性がある物質で、皮膚刺激性もあり、基本的に化粧品のように人の肌に触れるものに添加する必要がありません。

  • H318 重篤な眼の損傷
  • H400 水生生物に強い毒性
  • H410 長期的影響により水生生物に非常に強い毒性

と、目への使用は厳禁。紅斑や目の損傷などを起こす上に、水生生物を死なせる毒性があるので、むやみに化粧品に添加するメリットがありません。ジステアリルジモニウムクロリド(Dioctadecyl dimethyl ammonium chloride|DODAC)を含んでいる化粧品は利用する必要がありません。使用を避けて下さい。

 

水生生物に対し強い毒性あり

水生生物には

LC50=0.16 mg/L

で、急性・慢性ともに強い毒性があるため注意が必要です。

 

皮膚刺激性あり

NITEのGHS分類結果によると

ウサギに4時間適用した皮膚刺激性試験において、試験物質として純品(97%)を用いた場合には全動物で軽度~中等度の紅斑を認めたが14日以内に回復

テクニカルグレード(77%)を用いた場合は適用後中等度の刺激性に次いで症状が増強し、14日の観察期間後には重度の壊死が現れた

モルモットを用いた皮膚感作性試験(Maximization TestとEpicutaneous Test)および136人のヒトを用いた反復感作パッチ試験のいずれの試験も陽性反応を示さず(SIDS(Access on June, 2008), EU-RAR(2002))、皮膚感作性が認められなかった

との登録があり、純度の高い物品では重度の壊死が起こる可能性があり、濃度が低い場合でも紅斑を起こす可能性がある物質で、肌に触れた場合には大量の水で洗い流すことが推奨されています。

 

急性毒性(経口・経皮)

ラットの場合

  • (経口)LD50:>2000mg/kg
  • (経皮)LD50:>2000mg/kg

で、経口摂取も経皮吸収も避けたほうが良いです。体重50kgの人間にそのまま適用して換算するとLD50:100gです。

 

出典・参考

Physical science of the dioctadecyldimethylammonium chloride-water system. 1. Equilibrium phase behavior

https://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/j100369a060

Preparation and characterization of large dioctadecyldimethylammonium chloride liposomes and comparison with small sonicated vesicles

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0005273683901037

Adsorption of dioctadecyldimethylammonium chloride on silica

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/016666229280007O

Counter ions and constituents combination affect DODAX : MO nanocarriers toxicity in vitro and in vivo

https://academic.oup.com/toxres/article/5/4/1244/5568632

Zebrafish embryos as in vivo model for toxicity evaluation: screening of nanoparticle formulations DODAB:MO and DODAC:MO

http://repositorium.uminho.pt/handle/1822/41074

Potential antitumor activity of novel DODAC/PHO-S liposomes

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4841408/

NITE|ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド(別名DODAC)

https://www.nite.go.jp/chem/ghs/08-mhlw-0033.html

Posted by Medic