トコフェロール(ビタミンE)はほぼ安全|日焼け止めの成分チェック
トコフェロール(tocopherol|:(2R)-3,4-Dihydro-2,5,7,8-tetramethyl-2-[(4R,8R)-4,8,12-trimethyltridecyl]-2H-1-benzopyran-6-ol )は、化学式 C29H50O2、物質量430.71(αートコフェロール)、融点3℃、沸点235℃で、常温で橙色系液体、毒性はほとんどない物質ですが、過剰摂取は避けてください。
トコフェロール(ビタミンE)の詳細・基本情報
トコフェロール(tocopherol|:(2R)-3,4-Dihydro-2,5,7,8-tetramethyl-2-[(4R,8R)-4,8,12-trimethyltridecyl]-2H-1-benzopyran-6-ol )は、化学式 C29H50O2、物質量430.71(αートコフェロール)、融点3℃、沸点235℃で、常温で橙色系液体、多くはαートコフェロールが人に対して活性が高い物質です。
主に、食品の中で含有量が多いのは
- ひまわり油
- サフラワー油
- 米ぬか油
- とうもろこし油
- 卵
- アーモンド
- アボカド
- かぼちゃ
- オリーブオイル
などで、基本的に食用油から摂取可能でもある栄養素です。
トコフェロール(ビタミンE)の安全性・リスク
トコフェロール(tocopherol|ビタミンE)は、ほとんどが尿、糞から排泄される物質で、多少過剰に摂取しても体外に排泄されます。ただし、排泄までに10日~20日と長い時間がかかるため、毎日大量に意識的に摂取しなくても問題はありません。
健常なヒト(成人、性別及び人数不明)に 3H 標識 dl--トコフェロールを経口投与(0.2 mg/人、油性溶液で投与)し、投与後、血液、尿及び糞便を 14 日間にわたり採取した。採取試料を検討した結果、平均吸収率は 75%(61~90%)であった。(参照5)
健常なヒト(成人、性別及び人数不明)に 3H 標識 dl--トコフェロールを経口投与(0.3~0.6%の濃度で牛乳に混じて投与)し、投与後、血液を 5 日間、尿を 3 日間及び糞便を 6 日間にわたり採取した。採取試料を検討した結果、平均吸収率は 69%(55~79%)であった。(参照 5)
トコフェロール(tocopherol|ビタミンE)は、健常な人間の場合、およそ70%が吸収されることが分かっています。dl-α-トコフェロールは約10mgは人体に完全に吸収されますが、それ以上になると排泄されてしまいます。
遺伝毒性はなし
食品安全委員会の資料によると、遺伝毒性はなかったとのことです。生殖毒性が起こりうるのは1日500mg/kg以上を慢性的に摂取した場合で、サプリメントを過剰摂取しなければ毒性はありません。
急性毒性LD50
ラットやマウスの実験から、dl-α-トコフェロールは1日
LD50:2,400 mg/kg
であるとされています。これは体重60kgの人の場合
2,400mg × 60 = 144g
だということで、ネイチャーメイドのビタミンEサプリメントだと1粒268mg(50粒入り)で、全て丸呑みしても13,400mg=13.4gにしかならないため、このサプリメントを10本丸呑みしたとしても急性毒性には至らないことになります。
トコフェロールの皮膚への影響
The results of this in vivo study demonstrated that (1) while CP treatment lowers, TP treatment strongly increases α-tocopherol levels of skin barrier lipids; (2) increased vitamin E deposition levels were maintained for a period of at least 24 h, and (3) TP treatment significantly inhibited photooxidation of SQ. In conclusion, the use of α-tocopherol-enriched rinse-off products may help to maintain the integrity of the skin barrier by providing protection against photooxidative stress at the level of skin surface lipids.
2005 S. Karger AG, Baselの出典によると、トコフェロール(ビタミンE)は光酸化ストレスを減少させることが分かったとのことで、肌の酸化ストレスから肌を守ってくれる要素があるとのことです。
トコフェロールは、肌に対して毒性は示しませんが、湿布やその他の光毒性を持つ物質と合わせて使用しているタイミングでは、肌荒れを促進する可能性があります。オクトクリレンを含む化粧品や日焼け止めと「湿布」を一緒に使わないようにすれば、問題はほとんど起こりません。
トコフェロールが油脂としてコーティングの働きはしますが、それだけで血行促進や肌のターンオーバーの促進は起こりえません。肌の構造的に、表皮の角質層より奥に浸透できないため、害はないですが、とてつもなく有益かというとそんなこともありません。
お肌に使用する成分にトコフェロールが入っている場合は、単純に他の化粧品の酸化防止剤として含まれているだけであって、お肌にビタミンEが浸透するわけではありません。
ビタミンE(トコフェロール)は毎日適量の鶏卵を食べていれば十分補える栄養素なので、むやみやたらにサプリメントや化粧品で補給する必要はありません。
出典・参考
トコフェロール|食品安全委員会
トコフェロール|KEGG
https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?dr_ja:D02332
Protection against Adriamycin-induced Skin Necrosis in the Rat by Dimethyl Sulfoxide and α-Tocopherol
https://cancerres.aacrjournals.org/content/41/9_Part_1/3395.short
α-tocopherol protects against cisplatin-induced toxicity without interfering with antitumor efficacy
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ijc.10933
Vitamin E Delivery to Human Skin by a Rinse-Off Product: Penetration of α-Tocopherol versus Wash-Out Effects of Skin Surface Lipids