ピロ亜硫酸Naは皮膚刺激性あり|日焼け止めの成分チェック
ピロ亜硫酸ナトリウム(Sodium Metabisulfite|SMB)は、化学式Na2S2O5、モル質量190.11g/mol、密度1.48g/cm3、酸化防止剤として添加されることがまれにある物質です。皮膚刺激性があり、利用者の1%~5%にアレルギー反応が出るため、近年は使用が控えられている物質です。
ピロ亜硫酸Naの詳細・基本情報
ピロ亜硫酸ナトリウム(Sodium Metabisulfite)は、化学式Na2S2O5、モル質量190.11g/mol、密度1.48g/cm3、常温25℃で白色の粉末で、化粧品には酸化防止剤として添加されるケースが多いです。構造を見る限り、ナトリウムイオンと酸素イオンが反応を待つような形になっている可能性が高く、水素イオン、OH基ともに反応する可能性があります。
ピロ亜硫酸Naの安全性・リスク
Positive patch tests to sodium metabisulfite (SMB) are frequent. Standard series patch testing to SMB in 1751 patients showed 71 reactions interpreted as positive and allergic. 33 (46.5%) reactions were originally reported as relevant and 38 (53.5%) were of unexplained relevance depending on the presence or absence of identifiable sources responsible for the presenting dermatitis.
出典:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1600-0536.2007.01188.x
ピロ亜硫酸ナトリウム(Sodium Metabisulfite|SMB)に対する陽性パッチテスト行われ、1751人の患者を対象としたテストでは、71人(4.05%)が陽性、および、アレルギーと解釈されました。 このうち、33人(1.88%)にアレルギー関連性があると報告されています。
One hundred and twenty-four (4.5%) of 2763 patients patch tested positively to sodium metabisulfite. The most frequent localizations of the lesions were the face (40.3%) and the hands (24.2%). Six patients also reported systemic symptoms. Thirteen cases (10.5%) were occupational, 10 of them presenting with hand eczema.
出典:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1600-0536.2012.02135.x
2763人の患者のうち124人(4.5%)が、ピロ亜硫酸ナトリウム(Sodium Metabisulfite|SMB)に対して陽性。最も症状がはっきりと出たのは、顔(40.3%)と手(24.2%)で、6人の患者は全身症状を引き起こしました。13例(10.5%)は職業に関連があり、そのうち10例は手湿疹を発症。
少ない割合ですが、皮膚刺激性、アレルギーを起こす事例があります。使用者の1%~5%にアレルギー反応が出る可能性が高いため、多くの化粧品では含まれなくなっています。
100人使えば1人~5人にはアレルギー反応が出るということで、損害賠償や訴訟に発展するリスクを考えれば、一般的感覚では、あえて、酸化防止剤としてピロ亜硫酸ナトリウムを含む理由がありません。近年はより安全な酸化防止剤がありますので、ピロ亜硫酸ナトリウムは化粧品などに含まれている必要がありません。
急性毒性
ラットの場合の急性毒性は
- (経口)|LD50:1131mg/kg
- (経皮)|LD50:>2 g/kg
で、無影響量(NOEL)は、0.25%混餌(70mg/kg)だと報告されています。
副作用:ビタミンB1減少
ラットにピロ亜硫酸ナトリウム(Sodium Metabisulfite|SMB)を、0.125~6%の割合で8週間、混餌投与した。予備試験で亜硫酸塩の投与量(0.125~2.0%)を増量すると ,尿中ビタミンB1排泄量の低下が認められた。ピロ亜硫酸ナトリウム(Sodium Metabisulfite|SMB)を経口摂取するとビタミンB1が大幅に低下することが知られています。
出典・参考
An unexpected reaction of aryldiazonium tetrafluoroborates, sodium metabisulfite, and thiourea under photoinduced conditions
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2019/qo/c9qo00410f/unauth
Allergic contact dermatitis caused by sodium metabisulfite: a challenging allergen. A case series and literature review
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1600-0536.2012.02135.x
Recent advances in sulfonylation reactions using potassium/sodium metabisulfite
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2020/cc/d0cc01775b/unauth
Sodium metabisulfite allergy is common but is it relevant?
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1600-0536.2007.01188.x
日本医薬品添加剤協会
http://www.jpec.gr.jp/detail=normal&date=safetydata/ha/dahi11.html