BHTは添加の必要なし【ジブチルヒドロキシトルエン】日焼け止めの成分チェック
BHT（ジブチルヒドロキシトルエン ｜dibutylhydroxytoluene）は、化学式C15H24O、モル質量220.34g/mol、密度約1.03～1.05g/cm3の無色～淡黄色結晶固体で、抗酸化目的に化粧品やハンドソープ、ボディソープに添加されることが多く、軽度の経口毒性、皮膚毒性、眼刺激性があります。
BHT｜ジブチルヒドロキシトルエンの詳細・基本情報
BHT（ジブチルヒドロキシトルエン ｜dibutylhydroxytoluene）は、化学式C15H24O、モル質量220.34g/mol、密度約1.03～1.05g/cm3の無色～淡黄色結晶固体で、融点70℃、沸点265℃、脂溶性のフェノールとして抗酸化目的に化粧品やハンドソープ、ボディソープに添加されることが多いです。引火127℃、発火点345℃です。
薬品名としては「2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール」と呼ばれる事が多く、別名ブチル化ヒドロキシトルエン (butylated hydroxytoluene)とも呼称されます。
BHT｜ジブチルヒドロキシトルエン の安全性・リスク
総合すると、人の内臓にも、肌にも完全に無害ではなく、軽度の毒性を示すため、他のアレルギー原因物質と合わさると重い症状を引き起こす可能性があります。また、環境に良くない影響を与える物質なので、BHTを含んでいる食品、化粧品の使用は極力控えたほうが良いでしょう。
After administration of 0.5g./kg. of BHT by mouth, 37.5% of it was excreted as glucuronides, 16.7% as ethereal sulfates, and 6.8% as free phenols. α-Hydroxy-2, 6-di-tert-butyl-p-cresol, 3, 5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzoic acid and 4, 4′-ethylenebis (2, 6-di-tert-butylphenol) were identified by paper chromatography from the rabbit urine 24 hours after the administration of 0.5g./kg. of BHT.
出典：https://www.jstage.jst.go.jp/article/cpb1958/10/2/10_2_101/_article/-char/ja/
BHTは、経口摂取された場合（うさぎの場合）
- 37.5%がGlucuronides（グルクロニド）
- 16.7%がEthereal sulfates（エーテル硫酸塩）
- 6.8%がfree phenols（遊離フェノール）
として排泄されて
- α-Hydroxy-2, 6-di-tert-butyl-p-cresol
- 3, 5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzoic acid
- 4, 4′-ethylenebis (2, 6-di-tert-butylphenol)
が尿から検出されるとのことです。
急性毒性
ラットの急性毒性は
- （経口）LD50：1,700～1,900mg/kg
- （経皮）LD50：>2,000mg/kg
とされています。
本物質4 g又は80 gを摂取した女性2人に上部胃痙攣、吐気、嘔吐、疲労感、神経症状が見られたとの記述 (SIDS (2002)、ACGIH (7th, 2001))、ヒトが経口摂取すると腹痛や錯乱、眩暈、吐気、嘔吐を生じる
内蔵への単回ばく露で、胃痙攣や嘔吐などの症状があることから、BHTは経口摂取しないほうが良いでしょう。
皮膚・眼刺激性
ウサギを用いたドレイズ試験において、本物質100 mgを適用24時間後で、結膜に軽度の炎症が6/6例にみられたが、72時間後には完全に回復した (SIDS (2002)) との記載より区分2Bとした。
ウサギの試験では、軽度の眼刺激性があります。皮膚の場合もウサギの閉塞塗布試験で軽度の刺激性があり、人の皮膚にも軽度の刺激性があることが分かっています。
生態毒性
水生環境有毒性があり、オオミジンコ EC50：0.84mg/L（48時間）とされ、長期間、急性ともに、BHT｜ジブチルヒドロキシトルエンには生態毒性があり、水生生物への悪影響があることが分かっています。
出典・参考
Lung Toxicity and Tumor Promotion by Hydroxylated Derivatives of 2,6-di-tert-Butyl-4-methylphenol (BHT) and 2-tert-Butyl-4-methyl-6-iso-propylphenol: Correlation with Quinone Methide Reactivity
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/tx0255525
Metabolism and pulmonary toxicity of butylated hydroxytoluene (BHT)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0163725889900235
Toxicity from BHT ingestion.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1306899/
Studies on Food Additives. VI. Metabolism of 2, 6-Di-tert-butyl-p-cresol (BHT) in a Rabbit. (1). Determination and Paper Chromatography of a Metabolite.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cpb1958/10/2/10_2_101/_article/-char/ja/
安全データシート｜2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール