ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンは一応安全|日焼け止めの成分チェック
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(旧名:メチルフェニルポリシロキサン|DIPHENYLSILOXY PHENYL TRIMETHICONE)は、化学式C6H18OSi2・[C12H10OSi]n・[C9H14O2Si]m、分子量162.37+[198.29]n+[210.37]m、粘土15mm2/s(25℃)、比重:0.995(25℃)で、紫外線散乱や被膜形成を目的として化粧品に含まれる物質です。
成分概要と特徴
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(旧名:メチルフェニルポリシロキサン(Methylphenyl polysiloxane)|DIPHENYLSILOXY PHENYL TRIMETHICONE)は、化学式C6H18OSi2・[C12H10OSi]n・[C9H14O2Si]m、分子量162.37+[198.29]n+[210.37]m、粘土15mm2/s(25℃)、比重:0.995(25℃)、水への溶解性は0.5234mg/L(20℃)で、常温では無色透明の液体、紫外線散乱や被膜形成を目的として化粧品に含まれる物質です。
285nm~315nm程度の波長で励起される性質があり、化粧品としてはUV反射の役目も担っていると考えられます。
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンの危険性
明確、かつ、詳細に研究された情報は少なかったのですが、皮膚刺激性については一部、刺激性がある可能性があるかもしれません。
Dimethicone/phenyl vinyl dimethicone crosspolymer
A product mixture containing dimethicone/vinyl dimethicone crosspolymer (∼16% in diphenylsiloxy phenyl trimethicone; 0.5 mL) had a PPI of 2.38 when administered under occlusion to the intact and abraded skin of New Zealand White rabbits (n = 3).25 The authors concluded that the test substance was a moderate irritant.引用元:https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1091581814524963
ニュージーランドのうさぎの実験では、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン中約16%)を使用した場合、中程度の刺激があるとの結果がありました。しかし、これは、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンが悪さしているのか、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーが悪さをしているのか不明確で、断定するには至りませんでした。
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンの皮膚刺激性、眼刺激性
うさぎに対する24時間のパッチテストでは、皮膚刺激性はなかったとのことです。また眼刺激性についても問題はなかったと報告されています。ただし、詳細な濃度や実験方法が記載されておらず、検証の必要があるため、これまで問題が起きていないから大丈夫だと言い切るには軽率です。
少なくとも、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを含む化粧品は目に入れないようにしましょう。
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンの急性毒性・LD50
Patch Test (24Hr/Open) : Almost Negative,
SKIN-RABBIT : No skin irritation EYE IRRITATION:
EYE-RABBIT : No eye irritation SENSITIZATION :
Not a skin sensitizer. (Mouse)
ACUTE TOXICITY (LD50):
LD50 (Oral/Rat): >200 Omg/kg
LD50 (Dermal/Rat): >200 mg/kg
引用元:https://www.quidelta.com.mx/archivos/KF%2056A.PDF2016-05-30_13_07_15_SyP_hoja_seg_en.PDF
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンの急性毒性は、ラットの場合、
- (経口)LD50:>200 mg/kg
- (皮下)LD50:>200 mg/kg
だったとのことで、比較的少量のLD50なため、経口摂取、皮下注射は避けたほうが良いでしょう。ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを含む化粧品は誤って口に入れて、飲み込んではいけません。
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンの環境毒性(水生生物)
AQUATIC TOXICITY:
Vertebrates Zebra fish:LC50;96h >100 mg/L (no effects)
(Brachydanio rerio):LC100;96h >100 mg/L
NOEC, 96h 100 mg/L
Invertebrates Daphnia magna:EC50; 48h >100 mg/L (no effects)
NOEC; 48h 100 mg/L
Algae Scenedesmus subspicatus:EbC50; 72h >100 mg/L biomass
ErC50; 72h >100 mg/L growth
NOEC; 72h 100 mg/L growth and biomass
Inhibition of microbial activity:IC50,3h >1000 mg/L
NOEC;3h 1000 mg/L
引用元:https://www.quidelta.com.mx/archivos/KF%2056A.PDF2016-05-30_13_07_15_SyP_hoja_seg_en.PDF
水生生物では、ゼブラフィッシュ・オオミジンコ・緑藻類(Scenedesmus subspicatus)、及び、Inhibition of microbial activity(微生物活動阻害)に関する報告がありました。
96時間で1Lあたり100mg溶けていると、半数致死濃度(Lethal Concentration 50:LC50)になります。極微量、かつ、96時間暴露させないとこのLC50に達しないと考えることもできますが、たったの1L中に100mgさえ溶け込んでいれば、96時間それを継続すると半数は死に至るということでもあります。
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを一定の濃度100 mg/Lで、96時間連続で、生命の存在する水系に垂れ流し続けると半数が死滅してしまうため、工場などではかなり注意すべきでしょう。
一般家庭では、長時間暴露ができないので、おそらく深刻な影響はないでしょう。
出典・引用
KF-56A SAFETY DATA SHEET
https://www.quidelta.com.mx/archivos/KF%2056A.PDF2016-05-30_13_07_15_SyP_hoja_seg_en.PDF
Safety Assessment of Dimethicone Crosspolymers as Used in Cosmetics
https://greenifyorganics.com/wp-content/uploads/attachments/Dimeth092012rep.pdf
化粧品用シリコーン
https://www.silicone.jp/catalog/pdf/pc_j.pdf
A potential base substrate for deformable scintillation materials
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0168900216002011
Flame retardant application of a hypophosphite/cyclotetrasiloxane bigroup compound on polycarbonate
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/app.48699
3d printing technologies: are their materials safe for conservation treatments?
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1757-899X/364/1/012029/meta
Preparation of Artificial Skin that Mimics Human Skin Surface and Mechanical Properties
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos/advpub/0/advpub_ess17152/_article/-char/ja/
In vivo determination of the Infrared-A protection factor on human skin