酸化亜鉛は安全だけど入っていなくても良い|日焼け止めの成分チェック

酸化亜鉛(zinc oxide)は、化学式ZnO、モル質量81.41g/molの白色固体で、化粧品や日焼け止めには白色顔料やトーンアップ原料として添加される成分です。光触媒作用があるため、敏感肌の方は過度な使用を避け、目や粘膜には間違っても入れないようにしましょう。UVA(360nm)・UVB(310nm程度)の紫外線吸収作用もあります。




酸化亜鉛の詳細・基本情報

酸化亜鉛(zinc oxide)は、常温で白色の固体、EU分類では環境への危険性があるとされていますが、化粧品としての利用の範囲では人間にはほとんど害はない化学物質です。

  • モル質量:81.41g/mol
  • 水への溶解度:1.6 mg/L (28 ℃)
  • CAS:1314-13-2
  • 弱い表皮収れん作用あり
  • 弱い抗菌作用あり

また、厚生労働省の化粧品基準では

参照:リンク

酸化亜鉛ではないですが、亜鉛は100g中1g未満になるように配合するよう基準が設けられています。

 

また、化粧品の成分についても、実際、これまでの研究によれば、いくつか懸念される研究例が報告されている。例えば、日焼け止め等に使用される酸化亜鉛粒子からの亜鉛が健康な皮膚に浸透し、血液と尿中に観察されたことや、カーボンナノチューブには遺伝毒性・発がん性が、酸化チタンには細胞障害性・起炎性などの健康や環境に問題を起こす可能性及びより微小な粒子ほど体内の深部に到達する高度の蓋然性及び体内細胞組織との相互作用が促進される高度の蓋然性のあることが指摘されている。

https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3050535_po_024501.pdf?contentNo=1

Brian Gulson et al., “Dermal absorption of ZnO particles from sunscreens applied to humans at the beach,” 2010.2.

〈http://realizebeauty.files.wordpress.com/2010/02/iconn2010-abstract-gulson1.pdf〉

いくつかの研究例によると、化粧品に含まれている酸化亜鉛が皮膚に浸透、血液中や尿中に存在していることが確認された例があるとのことです。

 

参照:リンク

酸化亜鉛は粒子径が50nm未満の比較的小さい分子で、肌への吸収・刺激など若干懸念があります。ファンデーションなどによく使われているシリカよりは酸化亜鉛の方が粒子径が大きいです。

 

酸化亜鉛の安全性・リスク

ここでは酸化亜鉛の危険性についてまとめています。通常利用の範囲であれば化粧品に含有される酸化亜鉛に危険はありません。

粉末の酸化亜鉛はとにかくハイリスク

酸化亜鉛の”粉末”は、吸入、吸い込んでしまうと「咳・咽頭痛・頭痛・発熱・息切れ・脱力感などを起こします。皮膚にふれた場合、急性症状、急性毒性はないですが、洗い流して水、石鹸で洗浄する必要があります。

 

目に入ってしまった場合は充血を起こします。基本的に、目や粘膜には使わないように、入れてしまわないようにしましょう。

 

水生生物に対して有害

低濃度であれば人体にはさほど問題はないですが、水生生物に対して害があります。酸化亜鉛は水中でZn(OH)2となって、魚や両生類、藻類など生態系を破壊するほどの毒となります。酸化亜鉛の入っている化粧品を使用した素手まま、熱帯魚やカエル・イモリなどの世話をしていると、微量でもその毒性で死に至る可能性があります。

 

一度だけならば微量でも、酸化亜鉛の多い化粧品を長い期間そのまま洗い流して自然河川に排水することになれば、その環境の水生生物がいなくなる可能性もあります。化粧品に含まれている酸化亜鉛が微量だからといって無視できる事象ではありません。

 

光触媒作用あり

酸化亜鉛にはトーンアップ作用や光散乱による白浮き、光触媒作用による、他の物質と合わさった際の皮膚刺激が起きる可能性があります。そのため、被膜形成をする成分などと合わせて使用する必要があり、それでも、強い日光で肌荒れなどが起こる可能性があります。敏感肌の方は酸化亜鉛の入っている日焼け止めは使わないほうが良いでしょう。

 

低濃度微粒化酸化亜鉛は低リスク

日本化粧品工業連合会やSCCS(Scientific Committee on Consumer Safety)の調査と発表では、微粒化酸化亜鉛が一定濃度未満であればそれほど問題はないとされていますが、多くの場合、粘膜や目への使用、誤用は避ける必要があり、多くの化粧品と気をつけることは同じです。

 

出典・参考

ICSC|酸化亜鉛

https://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_card_id=0208&p_version=2&p_lang=ja

酸化亜鉛|化粧品成分オンライン

酸化亜鉛とは…成分効果と毒性を解説:リンク

非有機スズ系代替船底防汚塗料の開発状況と水生生物に対する有害性評価

https://www.fra.affrc.go.jp/bulletin/bull/bull06/yamada.pdf

検討対象物質(亜鉛)に関する情報

https://www.env.go.jp/council/09water/y0912-22/ref01.pdf

Posted by Medic